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大阪高等裁判所 昭和43年(ラ)413号 決定 1969年1月24日

抗告人

大和興業株式会社

代理人

江村重蔵

相手方

阪田政男

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

本件抗告の趣旨および理由は別紙に記載のとおりである。

本件は相手方の申請に基き大阪地方裁判所が昭和四三年一二月九日抗告人に対する仮処分決定(同庁昭和四三年(ヨ)第五一七〇号事件)をなしたのに対し、抗告人から異議を申立てるとともに、その執行の停止を申し立て、同裁判所がその申立を理由なしと認めて同年一二月一八日却下決定をなしたのに対し、抗告人から即時抗告がなされたのである。

仮処分決定に対し異議の申立があつても、原則として、債務者のためにあらかじめその執行の停止あるいは取消等の一時的応急処分を命ずることは許されず、当該仮処分決定の内容が権利保全の範囲にとどまらず、その終局的満足を得さしめ、もしくはその執行により債務者に対し回復することのできない損害を生ぜしめるおそれのあるような場合に限つて、例外として、民事訴訟法五一二条を準用して債務者のために一時的応急処分を命ずることが許されるにすぎないのであつて、本件決定は右例外の場合にあたらないとの判断のもとに執行停止の申立の申立を却下したものと解せられる。

しかし、右五一二条一項にたる裁判に対しては同条二項同法五〇〇条三項により不服申立が禁止されているのであつて、その趣旨は右裁判がもともと本案の裁判に従属する一時的応急処分の性質を有することにかんがみ、いやしくも裁判所がその申立につき実質的審理をしてなした裁判については、もはやこれに対し不服申立を許さないことにするにあると解され、このことは本案の裁判にあたるものが本件のような仮処分決定に対する異議の裁判である場合であつても異なるところはなく、本件仮処分決定が前記例外の場合にあたるかどうかについての原決定の認定を不服として即時抗告を申し立てることはできないものというべきである。

よつて本件抗告を不適法として却下すべきものとし、抗告費用は抗告人に負担させることとして、主文のとおり決定する。(小石寿夫 宮崎福二 舘忠彦)

別紙 抗告の趣旨および理由<省略>

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